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薬剤スクリーニング:遺伝学主導型手法が明らかにする30種類の免疫関連形質に対する薬剤標的の全体像

Nature Genetics 51, 7 doi: 10.1038/s41588-019-0456-1

現在のところ、ほとんどの候補薬剤は臨床試験の後期に失敗しており、その大きな原因は、初期の標的選択の有効性に対する予測が不十分なためである。薬剤標的に遺伝学的裏付けがあれば、治療の有効性の予測に役立つであろう。だが、ゲノムワイド関連解析のようなゲノム規模のデータを、複雑な疾患における薬剤標的の発見に対してトランスレーショナルに利用することは、まだ困難である。今回我々は、機能ゲノミクスアノテーションと免疫関連アノテーションを統合し、さらに、ネットワーク接続性の情報と組み合わせることで、標的の検証に対する遺伝学的情報の有用性が最大化されることを示す。さらに、遺伝子と経路レベルで、30種類の免疫形質に対する標的の優先順位付けについて明らかにする。我々の遺伝学主導型の薬剤標的優先順位付け方法(優先度指数)が、現行の治療法をうまく識別し、ハイスループット細胞スクリーニング(L1000、CRISPR、突然変異誘発、患者由来細胞アッセイなど)における活性を予測し、まだ調べられていない標的の優先順位付けや、標的レベルでの形質との関連性決定を可能にする仕組みについて明らかにする。この優先度指数は、オープンアクセスでスケーラブルなシステムであり、免疫介在性疾患に対する初期段階の薬剤標的選択を加速させるだろう。

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