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赤カビ病:TaHRC遺伝子における欠失変異がFhb1遺伝子座に赤カビ病抵抗性を付与する

Nature Genetics 51, 7 doi: 10.1038/s41588-019-0425-8

主にフザリウム菌(Fusarium graminearum)によって発生する赤カビ病はコムギに発生する破壊的な病害であり、世界のコムギ生産を脅かす。Fhb1は中国の遺伝資源から発見された量的形質遺伝子座であり、コムギの赤カビ病抵抗性に対して最も安定した大きな効果をもたらしている。本論文で我々は、ヒスチジンリッチカルシウム結合タンパク質と推定されるタンパク質をコードするTaHRC遺伝子が、Fhb1座位による赤カビ病への抵抗性を決定する要因であることを示す。我々は、TaHRC遺伝子が赤カビ病への易罹患性を付与する核タンパク質をコードしており、この遺伝子の開始コドンを含む領域の欠失によって赤カビ病への抵抗性が生じることを明らかにする。TaHRC-R対立遺伝子と同一の配列が多様なアクセッションで見られることから、Fhb1座位の起源は単一であると考えられ、系統解析およびハプロタイプ解析からTaHRC-R対立遺伝子はDahongpaoハプロタイプを持つ系統に由来する可能性が高いことが示唆されている。この発見により、生体工学の手法を用いてTaHRC遺伝子の配列を操作することにより、赤カビ病への抵抗性を高めるという、コムギの、またその他の栽培穀物にも応用可能性のある、品種改良への新たな道が開かれた。

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