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発生:DUXの喪失は接合子ゲノム活性化に軽微な異常を引き起こすが、マウスの発生は可能である

Nature Genetics 51, 6 doi: 10.1038/s41588-019-0418-7

卵母細胞の母性因子が接合子ゲノム活性化(ZGA)を開始させる仕組みは、発生生物学における長年の疑問である。2細胞様胚性幹細胞(2C様細胞)における最近の研究から、DUXファミリーの転写因子が胎盤哺乳類におけるZGAの重要な調節因子であることが示唆されている。本研究では、ZGAにおけるDUXの役割を特性解析するために、Duxクラスターのノックアウト(KO)マウス系統を作製した。意外なことに、接合子DuxのKO(Z-KO)胚も、母系および接合子DuxのKO(MZ-KO)胚も、発生能の低下を示すにもかかわらず、成体まで生存できることが分かった。さらに、MZ-KO胚のトランスクリプトームプロファイリングから、DUXの喪失がZGAに及ぼす影響は最小限であること、また、2C様細胞でのほとんどのDUX標的はMZ-KO胚において正常に活性化されることが明らかになった。従って、2C様細胞の誘導におけるDUXの重要な機能とは対照的に、我々のデータは、DUXはZGAにおいてわずかな役割しか担っておらず、DUXが喪失してもマウスの発生は可能であることを示している。

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