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トウモロコシ:ヨーロッパ全土にわたる環境条件に応じたトウモロコシ収量の遺伝学的予測

Nature Genetics 51, 6 doi: 10.1038/s41588-019-0414-y

食糧安全保障の観点から、気候変動に適応した遺伝資源の開発が必要とされている。遺伝学的予測は多くの遺伝型を評価するための強力なツールであるが、開花時期予測では成果が期待されるものの、環境シナリオ(遺伝型と環境との交互作用)を検証するには不十分であった。この検証に役立つ新たな道が、数千もの圃場の環境データを収集するセンサーネットワークが開発されたことにより開かれた。本報告で、我々は遺伝型と環境の交互作用に基づく遺伝資源評価の新たな戦略を提示する。収量を粒重と粒数の構成要素に分けて解析し、これらの要素についての遺伝型と環境の交互作用を環境ドライバーに対する遺伝型の感受性として収量予測モデルを構築した。表現型解析プラットフォーム上で、各圃場のセンサーデータおよび各遺伝型に対して較正したフェノロジーの進行から算出した遺伝型特異的指標を用いて、環境の特徴付けを行った。遺伝型による感受性予測に全ゲノム回帰分析を用いることにより、さまざまな環境シナリオについて遺伝型と環境の交互作用に基づいた収量の正確な予測が可能となり、標準的な予測方法よりも優れた予測結果が得られるようになった。

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