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出生時体重:出生時体重に及ぼす母体や胎児の遺伝的影響、およびそれらの心代謝リスク要因との関係

Nature Genetics 51, 5 doi: 10.1038/s41588-019-0403-1

出生時体重は、胎児や母体の遺伝的および非遺伝的な要因の影響を受けて変動し、将来の心代謝の健康状態との間に再現性よく関連が見られている。我々は、胎児の遺伝的バリアントが出生時体重に及ぼす影響(n = 321,223)と、母体の遺伝的バリアントが子の出生時体重に及ぼす影響(n = 230,069の母親)についての拡大ゲノムワイド関連解析を行い、190の独立した関連シグナル(うち129は新規の関連シグナル)を特定した。構造方程式モデリングを用いて、胎児からの直接的な遺伝的影響と母体からの間接的な遺伝的影響の関与を分け、次にメンデルランダム化試験を適用し、原因となる経路を明らかにした。例えば、出生時の低体重とその後の血圧上昇という関係が観察されるが、これは、母体からの間接的な遺伝的影響と胎児からの直接的な遺伝的影響の両方からもたらされる。つまり、血圧を上昇させる母体の対立遺伝子は子の出生時体重を減少させるが、これらの対立遺伝子が子に受け継がれた場合、その対立遺伝子が胎児による直接的な影響となり、この直接的な影響のみがその後の子の人生で血圧を上昇させるのである。有害な子宮内環境の代用として、出生時体重を低下させる母体の遺伝子型を用いた場合、この遺伝子型によって子の血圧が上昇するという証拠は示されなかったことから、出生時体重と血圧の逆相関は、遺伝的影響によるものであり、子宮内プログラミングによるものではないことが示された。

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