Perspective

トランスクリプトーム解析:トランスクリプトーム規模の関連解析の可能性と課題

Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0385-z

トランスクリプトーム規模の関連解析(TWAS)では、ゲノムワイド関連解析(GWAS)と遺伝子発現データセットを統合して遺伝子と形質間の関連を同定する。このPerspectiveでは、GWASで検出された関連座位の原因遺伝子を同定するための優先順位付けを行う手法として、TWASの特性について考察する。考察に当たっては、文献から収集した統合失調症、低密度リポタンパク質コレステロール、クローン病の原因遺伝子候補についてのシミュレーションおよび症例研究を用いた。TWASにより同定されたリスク座位の中には、原因遺伝子と考えられる候補を正しく同定したものもあれば、原因遺伝子ではないものを含む複数の遺伝子を同定したものもあり[同一の発現量的形質座位(eQTL)を共有しているために起こる]、その両者について検討した。遺伝子の発現レベルやeQTLと形質の関連の強さは細胞タイプによってかなり異なることから、形質と関連のない組織や細胞タイプでの発現データを利用した場合には、TWASによる優先順位付けに特に誤りが生じやすい。それでもなお、単純なベースラインと比較すれば、TWASでは原因遺伝子候補の優先順位付けをより正確に行うことができる。我々はTWASを用いた原因遺伝子の優先順位付けのための最善の方法を提案し、将来的な改善の可能性について論じる。我々の考察は、GWAS座位において原因遺伝子を同定するためにeQTLデータセットを用いることの長所と限界を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度