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統合失調症:複数の脳領域にわたる遺伝子発現インピュテーションから得られた統合失調症リスクに関する手掛かり

Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0364-4

トランスクリプトームをインピュテーションする手法では、疾患と遺伝子発現の間の関連性を調べるために、eQTL参照パネルと大規模遺伝子型データが組み合わせて用いられる。このような遺伝子の関連付けにより、複雑なゲノムワイド関連解析(GWAS)座位のシグナルを明らかにし、疾患発症におけるさまざまな組織の役割を解明できる可能性がある。今回我々は、背外側前頭前野(DLPFC)に関する最大のeQTL参照パネルを用いて、遺伝子発現予測因子のセットを作成し、それらの実用性を明らかにする。DLPFCデータと12のGTEx-brain予測因子を、統合失調症症例4万299例と対応する対照群6万5264例に適用し、統合失調症の大規模なトランスクリプトームインピュテーション解析を行った。その結果、13の脳領域にわたる413遺伝子に関連が見つかった。段階的条件付け解析では、67の非MHC遺伝子が同定され、そのうち14遺伝子は以前のGWAS座位に含まれていなかった。また、エンリッチメント解析により、ヘキソサミニダーゼA欠損の経路をはじめとする36の生物学的経路に有意な濃縮が見られるとともに、多発性ポルフィリン症に関わる経路も明らかになった。さらに我々は、この67の非MHC遺伝子に関して発生中の発現パターンを調べて、出生前および出生後の発現で特異的なグループを見いだした。

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