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クロマチン:哺乳類のSWI/SNFファミリー複合体のATPアーゼモジュールは、サブ複合体のアイデンティティーとその触媒活性非依存的なゲノムへのターゲッティングを仲介する

Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0363-5

mSWI/SNF(mammalian switch/sucrose non-fermentable)クロマチンリモデリング複合体のかく乱は、がんを引き起こす事象に広く関与している。そのようなかく乱の1つは、SMARCA4とSMARCA2というATPアーゼサブユニットの二重喪失であり、高カルシウム血症を示す卵巣小細胞がん(SCCOHT)や、SMARCA4欠損胸部肉腫、脱分化型子宮内膜がんで見られる。しかし、ATPアーゼサブユニットの二重喪失が、mSWI/SNF複合体のサブユニット構成、クロマチンへのターゲッティング、DNA接近性、および遺伝子発現にもたらす結果は分かっていない。本研究では、mSWI/SNFファミリーのサブ複合体であるBAF(Brahma-related gene-associated factor)およびPBAF(polybromo-associated BAF)の機能に必要なATPアーゼモジュールのサブユニット群を特定したことを報告する。我々はSMARCA4/2 ATPアーゼの変異型バリアントを用いて、ATPアーゼモジュールが触媒活性依存的および触媒活性非依存的に、クロマチンへのBAF複合体およびPBAF複合体のターゲッティングにゲノム規模で関与することを明らかにした。異なるmSWI/SNF複合体の標的部位を腫瘍抑制性の遺伝子発現プログラムに結び付けることにより、SCCOHTにおけるSMARCA4/2二重喪失が転写にもたらす結果を明らかにした。

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