Technical Report

病因性予測:S-CAPによりRNAスプライシングに影響を及ぼす遺伝的バリアントの病原性の予測能力を増強

Nature Genetics 51, 4 doi: 10.1038/s41588-019-0348-4

単一遺伝子疾患と考えられる患者のエキソーム解析をした場合、症例の半数以上は原因バリアントが特定できない。スプライシング異常を引き起こす変異は、疾患を引き起こすことが知られている変異の中で2番目に大きなグループとなっている。各個人の(シングルトン)エキソームには、スプライシング領域に500以上のまれな意義不明のバリアント(VUS)がある。既存のスプライシング関連病因性予測ツールは、全ての非コードバリアントが1つのアモルフクラスとして扱われていたり、臨床的使用に必要な高い感度で調べられていなかったりする。本論文では、そのような7つのツールについて調べ、これまでの全てのツールの2倍以上強力なS-CAP(Splicing Clinically Applicable Pathogenicity prediction)と呼ばれる新ツールを考案し、95%の感度で患者のVUSの41%を除去したことを報告する。このようなS-CAPの性能は、これまでのツールよりも優れていて、これはメタ予測を介してではなくS-CAP自身の特徴を用いることで達成されること、また、スプライシング領域の病因性予測はスプライシングの分子的な変化を予測するのとは異なっていることを示す。S-CAPは非コード領域に由来する原因を診断するための重要な一歩である。

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