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化膿性連鎖球菌:集団ゲノミクス、トランスクリプトミクス、病原性についての統合解析から得られた化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)の発症機序についての新しい手掛かり

Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0343-1

化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)には、毎年世界中で7億人のヒトが感染しており、1世紀にわたる徹底的な取り組みが行われているにもかかわらず、いまだこの細菌に対して承認されたワクチンは存在しない。病原性細菌についての多数の大規模なゲノム研究が報告されているが、細菌の大規模集団についてのゲノム、トランスクリプトーム、病原性の間の関係はほとんど分かっていない。本論文では、溶血性emm28型化膿性連鎖球菌2101株のゲノムの塩基配列を決定し、そのうちの系統学的に多様な492株を選んでトランスクリプトーム解析を行うとともに、50株を選んで病原性評価を行った。データの統合により、このモデル生物の病原性機構について新たな理解が得られた。ゲノムワイド関連解析、発現量的形質座位解析、機械学習、および同質遺伝子変異型株から、1つの遺伝子間領域の1ヌクレオチドのインデルによって、全体的な転写産物プロファイルや最終的には病原性が大きく変化することを見いだし、検証した。我々が用いた統合的戦略は、あらゆる微生物に一般的に適用可能であり、多くのヒト病原体に対する新しい治療法につながり得るだろう。

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