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肺疾患:慢性閉塞性肺疾患の遺伝的全体像から、疾患に関連する細胞の種類や表現型の不均一性が明らかになった

Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0342-2

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界的に見て、呼吸器疾患による死因の主たるものである。遺伝的リスクを担うゲノム領域が判明すれば、疾患の発症機序についての新たな手掛かりが得られるであろう。今回、英国バイオバンクから抽出したCOPD患者3万5735人および対照健常者22万2076人を対象にゲノムワイド関連解析を行うとともに、International COPD Genetics Consortiumからの抽出データを基にさらなる解析を行った。その結果、82のゲノム領域を同定した(P < 5 × 10−8)。これらのうち47の領域は、COPD、もしくは集団ベースの肺機能評価との関連がこれまでに報告されていた。今回新たに明らかになった35の領域のうち13の領域は、SpiroMeta consortiumから抽出した7万9055人における関連解析で肺機能との関連を示した。さらに遺伝子発現および発現調節のデータから、肺組織、平滑筋、および一部の肺細胞においては、COPDリスク領域に特定の機能を担う遺伝子が密に存在していることが分かった。また、14のCOPD領域が、喘息または肺線維腫の感受性領域と重複していることを見いだした。COPDの遺伝的リスク領域は、定量イメージングの特徴や併存疾患の有無との関連に基いてグループ分けされることが分かった。今回の結果は、COPD発症の遺伝的感受性とその多様性をさらに裏付けるものである。

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