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不眠症:133万1010人を対象にした不眠症のゲノム規模の解析による新規リスク座位と機能的経路の同定

Nature Genetics 51, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0333-3

不眠症は2番目に頻度の高い精神疾患だが、十分な治療法は存在しないのが現状である。その高い遺伝率にもかかわらず、関連する遺伝子および神経生物学的経路についての知見は依然として限られている。本研究では不眠症の新規リスク座位を同定し、また関係している経路、組織、細胞種についての知見を得ることを目的として、大規模な集団(n = 1,331,010)において遺伝学的関連解析を実施した。ポジショナルマッピング、発現量的形質座位マッピング、クロマチン相互作用マッピングを通じて、202の関連座位および956の関連遺伝子が同定された。メタ解析により、分散の2.6%が説明された。遺伝子セットが豊富に認められたのは、ニューロンの軸索部分、大脳皮質ならびに皮質下組織、そして線条体、視床下部、前障といった特定部位のニューロンにおいてであった。不眠症と比較的高い遺伝的相関が認められたのは精神医学的形質および睡眠時間であり、その他の睡眠関連形質との間の相関はそれほど高くはなかった。メンデルランダム化解析では、不眠症がうつ病、糖尿病、心血管疾患に対する因果効果を有すること、また、教育達成および頭蓋内容積が不眠症に対する保護効果を有することが分かった。本研究で得られた知見は、不眠症に関係している重要な脳領域および細胞種を明らかにし、新たな治療標的を示唆するものである。

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