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がん免疫療法:腫瘍変異量から多数のタイプのがんにおける免疫療法後の生存率が予測される

Nature Genetics 51, 2 doi: 10.1038/s41588-018-0312-8

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療は、転移がん患者の一部にのみ恩恵をもたらすので、予測バイオマーカーが必要となる。これまでに、限定されたがんタイプでの知見から、腫瘍変異量(TMB)がICIに対する臨床的奏効を予測する可能性が示唆されている。本論文では、この関連についてより広く調べるために、病気の進んだがん患者を対象に、ICIによる治療を受けた1662人と、ICIによる治療を受けていない5371人の臨床データとゲノムデータを解析した。これらの患者の腫瘍については、次世代標的塩基配列決定法(MSK-IMPACT)を用いている。全患者の中では、体細胞性TMBのレベルが高いほど(各腫瘍タイプにおいて、高い方の20%の患者)、全生存率が優れていた。ほとんどのタイプのがんで、TMBレベルの高さと生存率の改善の間に関連が見られたが、生存率の改善と関連するTMBのカットポイント値は、がんタイプ間で顕著に異なっていた。これらのデータから、さまざまなタイプのがんにおいて、TMBはICIを投与された患者の生存率の改善に関連するが、TMBレベルの高さをさまざまながんタイプにわたって一律に定義するのは難しいだろう。

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