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オオムギ:ジーンバンクを利用したゲノミクスにより世界的オオムギコレクションの多様性が浮き彫りとなる

Nature Genetics 51, 2 doi: 10.1038/s41588-018-0266-x

ジーンバンクには主要食用作物全ての栽培品種、在来種、および作物近縁野生種の包括的なコレクションが収蔵されているが、現在のところ、詳細な分析が行われたのは少数のコアセットに限られている。ドイツのex situジーンバンクが保有するほぼ全てのオオムギアクセッションについて、GBS(genotyping-by-sequencing)データを用いてゲノム規模の解析を行ったところ、栽培化されたオオムギの世界規模の集団構造についての知見を得たと同時に、この世界的にも主要なジーンバンクに、遺伝資源の重複や、産地によっては遺伝資源の不足や欠落があることが明らかとなった。我々のゲノムワイド関連解析では、標本サイズが大きく、密なマーカーデータを用いたことにより、強力な解析を行うことができた。それにより我々は、オオムギの遺伝子プールを特徴付ける形態的特性を示す既知および新規の遺伝子座を検出し、オオムギとイネにおいてそれぞれ独立に棘のない芒(のぎ)が選択されてきたことを明らかにし、また、バイモウイルス感染に対して強い抵抗性を付与する遺伝子座が古くから農民によって選択されてきたことを見いだした。本研究は、ゲノミクスを利用したジーンバンクの管理や、作物進化の過程で自然変異を人為選択に結び付ける遺伝資源コレクションの利用について、今後の方向性を示すものである。

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