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尿酸値:ヒト血清尿酸値に影響を及ぼす標的遺伝子、バリアント、組織、転写経路

Nature Genetics 51, 10 doi: 10.1038/s41588-019-0504-x

血清尿酸値の上昇は痛風を引き起こし、心血管代謝疾患と相関するが、その機構はほとんど理解されていない。本論文では45万7690人を対象に、血清尿酸値に関する民族横断的なゲノムワイド関連解析を行い、183座位を同定した(このうちの147座位はこれまで知られていない)。この結果を用いると、33万4880人からなる独立したコホートにおける痛風の予測が改善された。血清尿酸値は、多くの心血管代謝形質と有意な遺伝的相関を示し、遺伝的な因果関係の解析からは、多面的関連が大きな役割を担っていることが裏付けられた。エンリッチメント解析、尿酸値関連座位のファイン・マッピング、47組織での遺伝子発現共局在解析から、腎臓と肝臓が主要な標的器官であることが示唆され、また、肝臓と腎臓の転写のマスター・レギュレーターであるHNF1AHNF4Aなど、候補となる原因遺伝子や原因バリアントの優先順位付を行った。実験的検証により、HNF4Aは腎臓細胞において主要な尿酸トランスポーターをコードするABCG2のプロモーターをトランス活性化すること、また、HNF4A p.Thr139Ileは機能的バリアントであることが示された。器官内および器官間に見られる転写共調節は、尿酸値と心血管代謝形質に観察される多面的関連の背後にある一般的な機構であると考えられる。

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