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パラログ依存性:ゲノム規模の解析からパラログ致死性ががんにおける染色体1p喪失の脆弱性であることが明らかになる

Nature Genetics 50, 7 doi: 10.1038/s41588-018-0155-3

パラログ遺伝子に共有される機能的冗長性は、遺伝的撹乱に対して防御的に働き得るが、同時に、相互依存性による遺伝的脆弱性をもたらす可能性もある。本論文では、何百ものがん細胞株を用いてゲノム規模に行われた短鎖ヘアピンRNAのスクリーニングやCRISPRによるスクリーニングのデータを調べ、パラログ依存性が最上位ランクであるものとして、MAGOHMAGOHBを同定したので報告する。これらの遺伝子は、スプライシング依存性エキソンジャンクション複合体(EJC)の中心となる因子である。MAGOHBが最上位にランク付けされる遺伝子依存性を示したのは、MAGOHのヘミ接合性欠失の見られる細胞においてであり、この欠失は、染色体1p喪失により起こることが多い一般的な遺伝的事象である。MAGOHが欠失した状況でMAGOHBを阻害すると、選択的スプライシングやRNA監視が全体的に破壊されることで、生存性が低下した。IPO13はMAGOH/B-Y14ヘテロ二量体の核内輸送を仲介するインポーチンβ受容体であり、このIPO13への依存性が、MAGOHおよびMAGOHBの両方への依存性と高い相関を示した。MAGOHBIPO13も、MAGOHのヘミ接合性欠失の見られるマウス異種移植片において依存性を示した。我々の結果から、MAGOHMAGOHBがさまざまなタイプのがんにおいて互いにパラログ依存性であることが明らかにされ、また、染色体1p欠失がんではMAGOHB-IPO13軸を標的とする論理的根拠が示唆された。

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