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知能:26万9867人を対象にしたゲノムワイド関連解析のメタ解析により、知能と遺伝要因および機能との新たな関連を同定

Nature Genetics 50, 7 doi: 10.1038/s41588-018-0152-6

知能は、遺伝的に受け継がれる程度が高く、人間の健康と幸福の主要な決定要因である。最近のゲノム規模のメタ解析では、知能の多様性に関連する24のゲノム座位が同定されているが、知能の遺伝学的基盤はまだほとんど解明されていない。本研究では、知能に関する大規模な遺伝学的関連解析(n = 26万9867)を行ったので、その結果を報告する。ポジショナルマッピング、発現量的形質座位(eQTL)マッピング、クロマチン相互作用マッピング、および遺伝子に基づく関連解析により、205の関連ゲノム座位(うち190は新規)と、1016の関連遺伝子(うち939は新規)を同定した。遺伝効果は、保存領域およびコード領域で豊富に見られ、エキソン内非同義バリアントとの関連が146見いだされた。関連遺伝子は脳(特に、線条体の中型有棘ニューロンおよび海馬の錐体ニューロン)において強く発現していた。遺伝子セット解析では、神経系の発達やシナプス構造に関係した経路との関連が示された。また、これまでに報告されている種々の健康問題との強い遺伝相関が確認された。メンデルランダム化解析の結果からは、知能がアルツハイマー病およびADHDに対する防御効果を有すること、そして統合失調症との間には多面効果を伴う双方向性の因果関係があることが示唆された。これらの結果は、認知機能に加え、遺伝的に関連のある精神・神経疾患に対する神経生物学的理解を大きく進めるものである。

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