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がん精密医療:神経内分泌腫瘍の機構的な依存性を薬理学的標的とするためのがん精密医療の手法

Nature Genetics 50, 7 doi: 10.1038/s41588-018-0138-4

本研究では、各患者の腫瘍が特定の機構に依存していることを標的とする薬剤を系統的に優先順位付けするための新しいがん精密医療の枠組みについて紹介し、その検証も行う。腫瘍細胞の状態を機構的に調節するマスター調節タンパク質の協調した活性を反転させる能力に基づき、化合物の優先順位付けを行った。そのための評価方法としては、薬剤の系統的撹乱試験を用いた。また、この精密医療の枠組みについて、膵臓および消化管に生じるまれな悪性腫瘍である膵・消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)患者212人のコホートにおいて検証を行った。この解析から、神経内分泌細胞系譜の前駆細胞の状態や免疫回避の重要な調節因子をはじめとするいくつかのマスター調節因子タンパク質が突き止められ、腫瘍がそれらのタンパク質に依存することを実験的に確認した。107の化合物からなるライブラリーを用いた撹乱試験により、GEP-NET由来細胞のトランスクリプトームの解析を行い、HDACクラスI阻害剤のエンチノスタットが、転移性GEP-NET患者の42%に対してマスター調節因子活性の強力な阻害剤であること、また、in vivoでの腫瘍増殖を阻止することが明らかにした。従って、この手法はがんの精密医療おける現在の取り組みを補完し得ると考える。

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