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ポリコーム抑制複合体:MTF2はヘリックスの形状選択的なDNA結合によりポリコーム抑制複合体2を誘導する

Nature Genetics 50, 7 doi: 10.1038/s41588-018-0134-8

ポリコームを介する遺伝子発現の抑制は発生に不可欠であり、ポリコーム抑制複合体2(PRC2)によって起こるヒストンH3リシン27のトリメチル化(H3K27me3)が非常に重要な役割を担っている。PRC2が標的遺伝子に誘導される機構は、特に脊椎動物においては、ほとんど分かっていない。本論文では、マウス胚性幹細胞において、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のPolycomblikeの3つの脊椎動物ホモログのうちの1つであるMTF2が、DNA結合性かつメチル化感受性のPRC2誘導因子であることを実証する。MTF2はDNAに直接結合し、in vitroおよびin vivoの両方におけるPRC2の誘導に不可欠であった。Mtf2ノックアウト細胞では、PRC2の触媒サブユニットであるEZH2のゲノム規模の誘導が起こらず、その結果H3K27me3の蓄積が大幅に減少した。MTF2は、ヘリックスのねじれが低下した状況では、メチル化されていないCpGが高密度に存在する領域に選択的に結合し、これにより、非標的CpG島から標的が識別されることになる。これらの結果は、MTF2がPRC2をゲノム標的へ教示的に誘導することを実証している。

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