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腸内微生物:腸マイクロバイオームの機能的な読み出しとしての糞便メタボローム

Nature Genetics 50, 6 doi: 10.1038/s41588-018-0135-7

ヒトの腸のマイクロバイオームは、ヒトの健康において重要な役割を果たしているが、16Sによる特徴付けでは定量的な機能的アノテーションを行えない。糞便メタボロームは微生物活動の機能的な読み出しであり、宿主とマイクロバイオームの相互作用を介する中間表現型として用いることができる。今回、集団を基盤とする双生児研究(TwinsUK)の786人の糞便試料における1116の代謝産物を調べ、糞便メタボロームの包括的な解析を行った。その結果、宿主の遺伝学的性質は糞便メタボロームに中程度の影響しか与えないことが分かった[遺伝率(H2) = 17.9%]。NAT2遺伝子の1座位は、糞便の複数の代謝形質と関連することが追試により実証された。糞便メタボロームは腸の微生物組成を大きく反映し、その分散の平均67.7%(± 18.8%)を説明した。また、糞便メタボロームは内臓脂肪量と強く関連したことから、腹部肥満に及ぼす微生物のよく確立された影響の基礎となる有望な機構が示された。従って、糞便代謝プロファイリングは、マイクロバイオーム組成、宿主表現型、遺伝性の複雑形質の間のつながりを調べるための新しいツールになる。

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