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視覚:ゲノムワイド関連研究のメタ解析から視覚シグナルの伝達経路が屈折異常を引き起こしていることが明らかになる

Nature Genetics 50, 6 doi: 10.1038/s41588-018-0127-7

近視などの屈折異常は、世界的に最もよく見られる眼の障害であり、失明の原因としても重要になりつつある。16万420人のデータを用いた今回のゲノムワイド関連研究のメタ解析と、9万5505人のデータを用いた追試により、ヨーロッパ系の人々とアジア系の人々の屈折異常に関連すると確信できる遺伝子座の数が37から161にまで増加した。発現実験と包括的なin silico解析からは、網膜細胞が視覚シグナルを伝達する経路が屈折異常の発症に重要であり、神経感覚網膜、網膜色素上皮、血管内皮の全ての細胞と細胞外マトリックスが屈折異常の発症に重要な機能を持つことも明らかになった。新たに特定された遺伝子からは、錐体桿体細胞と双極細胞のシナプス神経伝達、前眼部の形態、および血管新生などが新たに屈折異常に関与していることが示された。低分子RNAの転写に関わる領域内あるいは近傍に31の関連座位があったことから、転写後調節も屈折異常の発症に関与していると考えられた。我々の結果から、屈折異常は網膜から強膜に至る視覚シグナルの伝達カスケードによって引き起こされるという考えが裏付けられ、また、屈折異常に関わると考えられる有望な病理生物学的分子が明らかになった。

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