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バラ:バラのゲノム解析により得られたモダンローズの栽培化に関する新知見

Nature Genetics 50, 6 doi: 10.1038/s41588-018-0110-3

バラは観賞植物として、また香水産業において、文化的・経済的に大変重要である。我々が行ったバラの全ゲノム配列決定、全ゲノムアセンブリ、およびバラの栽培化に寄与した主な遺伝子型のリシーケンシングについて報告する。我々は、モダンローズの祖先でヘテロ接合2倍体であるコウシンバラ(Rosa chinensis )「オールド・ブラッシュ」から、ホモ接合の遺伝子型を作成した。単一分子リアルタイム配列決定とメタアセンブリの手法を用いて、植物ゲノムとしては現時点で最も完全な形を有するゲノム配列の1つを得た。ごく初期のハイブリッド品種である「ラ・フランス」について多様性分析を行ったところ、ヨーロッパ種の成長の旺盛さと中国種の四季咲き性とが組み合わされたモザイク状の起源を持つことが浮き彫りとなった。祖先である中国種由来のゲノム領域の解析からは、四季咲き性をもたらす複数の新たな遺伝子候補が同定された。また、代謝制御経路および二次代謝経路を再構築することにより、芳香と花色の制御が相互に関連し合っているというモデルを提唱することができた。本ゲノム情報はバラの性質を支配する機構の理解の基礎となり、バラとバラ科植物、および観賞植物の品種改良を加速させるはずである。

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