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TGF-β:ヒトTGF-β1の欠損は重症炎症性腸疾患および脳症を引き起こす

Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0063-6

トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)ファミリーは33のタンパク質からなり、胚形成、発生、組織恒常性を調整する役割を担う。このファミリーを代表するメンバーがTGF-β1(TGFB1にコードされる)である。TGF-βの発見以来、発がんの促進と抑制、炎症の促進と抑制、繊維形成の促進と抑制のバランスの調節におけるTGF-βの役割には大きな関心が集まり、数多くの議論も引き起こされてきた。本論文では、TGFB1の両対立遺伝子に機能喪失変異を有し、重症小児炎症性腸疾患(IBD)および中枢神経系(CNS)の異常(てんかん、脳萎縮、後白質脳症を伴う)を呈する3人(2つの家系に属する)について報告する。TGFB1の変異対立遺伝子にコードされるタンパク質は、TGF-β1–LAP複合体の分泌、機能、ないし安定性が障害されていることが特徴で、このことから、TGF-β1の生物学的利用能が低下しているという推測が得られる。本研究は、ヒトの腸管免疫の誘導と恒常性、ならびにCNSの機能において、TGF-β1が重要かつ必須で、他により代償されない役割を果たしていることを示している。

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