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DNAメチル化:多能性幹細胞では内在性レトロウイルスの制御にTET2のRNA依存性クロマチンターゲッティングが用いられる

Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0060-9

TET(ten-eleven translocation)タンパク質は、5-メチルシトシン(5mC)を酸化して5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)を作り出すことでDNAのメチル化状態の調節に重要な役割を担っている。5mCと5hmCは共に安定なエピジェネティック標識であり、活発な脱メチル化に関与できる。TET2は、TETファミリーの他の因子とは異なり、DNA結合領域を持たないため、クロマチンに誘導される仕組みは分かっていない。本論文では、TET2が、内在性レトロウイルス(ERV)などの転写活性がある座位を介して、RNA結合タンパク質PSPC1(Paraspeckle component 1)によって誘導されることを示す。ERVのLTR(long terminal repeat)は、哺乳類ゲノムでステージ特異的あるいは組織特異的な転写調節モジュールとして利用されている。PSPC1とTET2は、ヒストンデアセチラーゼを介した転写抑制、および5hmC修飾によるRNAの転写後不安定化の両方を介して、ERVLやERVL関連遺伝子の調節に関与することが分かった。我々の知見から、転写活性のあるERVが、RNAのエピジェネティックな修飾や遺伝子調節のための特異的な結合部位としての機能的役割を担っている証拠が示された。

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