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繊毛病:ヘッジホッグシグナル伝達についてのCRISPRを基盤とするスクリーニングから、繊毛機能および繊毛病についての手掛かりが得られる

Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0054-7

一次繊毛はヘッジホッグシグナル伝達を調整し、胚発生を方向付ける。繊毛の調節異常は繊毛病に共通する原因である。本論文では、ヘッジホッグシグナル伝達の機能的ゲノムスクリーニングの結果を報告する。まず、遺伝的操作によりヘッジホッグシグナル伝達を抗生物質耐性に変換させて、ヘッジホッグシグナル伝達の活性を抗生物質によって選択できるようにしたヘッジホッグ応答性細胞に対し、CRISPRによるゲノムワイドな遺伝子破壊を適用する方法を取った。このスクリーニングにより、繊毛シグナル伝達に必要な因子をロバストに同定できて、擬陽性あるいは偽陰性はほとんどなかった。ヒットした遺伝子の特徴付けにより、δチューブリンおよびεチューブリンを含む、中心小体の維持に必要なタンパク質複合体など、いくつかの繊毛構造の新規構成要素が明らかになった。このスクリーニングから、繊毛病の分類のための偏りのないツールも示され、また、多くの先天性心疾患が繊毛シグナル伝達の喪失によって引き起こされることが示された。総合すると、我々の研究から、繊毛機能および繊毛病の系統的解析が可能になり、また、CRISPRを基盤とするスクリーニングを介してシグナル伝達経路を解明するための多用途のプラットフォームが示された。

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