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エンハンサープライミング:クロマチンと遺伝子発現に及ぼす共通の遺伝的影響から、免疫応答におけるエンハンサープライミングの役割が示される

Nature Genetics 50, 3 doi: 10.1038/s41588-018-0046-7

調節バリアントは、状況依存的であることが多く、ある細胞状態のサブセットにおいて遺伝子発現を調節する。これらの遺伝的影響は疾患において重要な役割を担い得るが、状況依存性の原因となる分子機構はほとんど解明されていない。本論文では、IFNγ、サルモネラ菌(Salmonella)、IFNγ + サルモネラ菌に曝露されたヒトマクロファージにおいて、クロマチン接近性と遺伝子発現に共有される量的形質座位(QTL)を明らかにした。刺激特異的発現QTLの約60%は、クロマチンに検出可能な影響を及ぼし、ナイーブ細胞のクロマチン接近性を変化させることが観察されたため、それらはエンハンサープライミングを撹乱すると考えられた。このようなバリアントはおそらく、PU.1のような細胞種特異的転写因子の結合に影響を及ぼし、次に、間接的にNF-κBあるいはSTAT2のような刺激特異的転写因子の結合を変化させることができる。従って、クロマチン接近性の解析手法は原因となる調節バリアントを詳細にマッピングする強力な手段であるが、それらの下流が遺伝子発現に及ぼす影響の検出は、刺激を受けた非常に多くの細胞状態や時点のプロファイリングが必要であるため、困難を伴うが重要であると考えられる。

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