Letter

シロイヌナズナ:miR845が引き金となるトランスポゾン由来低分子RNAはシロイヌナズナ属(Arabidopsis)のゲノム量応答を仲介する

Nature Genetics 50, 2 doi: 10.1038/s41588-017-0032-5

染色体量は、植物においても動物においても、生殖的隔離や種分化に大きな影響を及ぼすが、その原因となる機構はほとんど解明されていない。動物の転位性遺伝因子は母系の低分子RNAを介して雑種性を調節できるが、植物の低分子RNAは、隣接するインプリンティング遺伝子を介した遺伝子量応答を調節すると仮定されている。本論文では、植物において高度に保存されたマイクロRNAであるmiR845が、シロイヌナズナ属(Arabidopsis)の花粉においてLTR(long terminal repeat)型レトロトランスポゾンのtRNAMetのプライマー結合部位(PBS)を標的として、miR845の量依存的にRNAポリメラーゼIVを介する21~22ヌクレオチド(nt)の低分子RNAの蓄積を開始させることを示す。これらのエピジェネティックに活性化された低分子干渉RNA(easiRNA)は二倍体の種子親と四倍体の花粉親の間の雑種形成の障壁(「三倍体ブロック」)を仲介すること、また、miR845の自然に見られる多様性が三倍体の種子形成を可能にする「胚乳均衡(endosperm balance)」の説明になる可能性があることが分かった。低分子RNAでPBSを標的とすることは、哺乳類や植物におけるトランスポゾン制御のための共通の機構であり、発生中の種子において染色体量とインプリンティングを監視するための独特の感度の高い手段である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度