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肥満:ADCY3の機能喪失変異は単一遺伝子性の高度肥満を引き起こす

Nature Genetics 50, 2 doi: 10.1038/s41588-017-0023-6

肥満の単一遺伝子性要因の研究により、中枢のレプチン–メラノコルチン経路がエネルギーバランス、食欲、体重の制御に極めて重要な役割を果たしていることが実証されている。レプチン–メラノコルチンシグナル伝達に直接関わる遺伝子には、多数の機能喪失変異(ほとんどが劣性もしくは共優性)が同定されている。しかしながら、これらの遺伝子により説明できるのは、主に非血族婚集団における肥満症例の5%未満にすぎない。我々は以前、パキスタンの血族婚集団において、既知の肥満関連遺伝子の劣性遺伝性変異により高度肥満症例のおよそ30%を説明できることを示した。これらのデータは、この集団において新たな単一遺伝子性肥満を同定し得る余地が残されていることを示唆していた。今回我々は、アデニル酸シクラーゼ3をコードするADCY3遺伝子において、パキスタン人血族婚家系の高度肥満児からホモ接合性変異を、また欧米系の高度肥満児からは複合ヘテロ接合性変異を同定し、その機能を明らかにした。これらの知見は、ADCY3がエネルギー恒常性の重要な調節因子であり、肥満の薬物治療における魅力的な標的となることを強調している。

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