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ファゴサイトーシス:磁気を利用したゲノムワイドCRISPRスクリーニングによるファゴサイトーシス制御因子の同定

Nature Genetics 50, 12 doi: 10.1038/s41588-018-0254-1

ファゴサイトーシス(食作用)は、病原体に対する防御から組織の恒常性維持に至るまで広範な生理学的機能に必要である。しかしながら、さまざまな基質のファゴサイトーシスを可能とする機構についてはまだ十分に分かっていない。本研究では、磁気分離を利用した迅速な表現型スクリーニング法を開発し、さまざまな基質のファゴサイトーシス制御遺伝子を同定するため、ヒト細胞を用いて8種類のゲノムワイドCRISPRスクリーニングを実施した。同定された遺伝子を、標的を絞り込んだミニスクリーニング、別手法による解析、およびヒト初代マクロファージを用いた解析によって検証した結果、以下のことが明らかになった。(1)これまで機能がよく分かっていなかったNHLRC2遺伝子は、アクチンの重合と糸状仮足の形成を調節するRhoA-Rac1シグナル伝達カスケードを制御しており、ファゴサイトーシスにおいて中心的な役割の1つを果たしている。(2)ある種の基質の効率的なファゴサイトーシスには超長鎖脂肪酸が必須である。(3)これまで機能がよく分かっていなかったアルツハイマー病関連遺伝子TM2D3は、アミロイドβ凝集体の取り込みを促進し得る。これらの知見は、ファゴサイトーシスの新規制御因子および基本原理を明らかにするとともに、より一般的には、さまざまな生理学的・病理学的状況において細胞内取り込みに関連する因子を効率的に同定するための偏りのない手法を確立するものである。

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