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菌類:AspergillusNigri節のゲノム配列決定による種間ならびに種内多様性の検討

Nature Genetics 50, 12 doi: 10.1038/s41588-018-0246-1

菌類のAspergillusNigri節には、生物医学やバイオエネルギー、衛生、バイオテクノロジーとの関わりが大きい糸状菌が属している。これらの菌種の遺伝学的特徴や、バイオテクノロジーおよび生物医学における利用の可能性についての知見を得ることを目的として、23のゲノムを新規に塩基配列決定し、この節に属する全菌種(26種)のゲノムのリストを完成させるとともに、Aspergillus nigerの6つの分離株の全ゲノム配列を得た。これによりゲノムの多様性を種間ならびに種内で定量的に評価することができるようになった。さらに、1万7903の糖質関連酵素ドメインおよび2717の二次代謝産物遺伝子クラスターを予測した。後者は、化合物の種類に基づいて455のファミリーに分類され、そのうち49%のファミリーは単一の菌種にのみ認められた。また、メタボローム解析を行って代謝産物アウラスペロンを明らかにするとともに、クエン酸シンターゼ遺伝子のAspergillus nidulansへの異種移入による遺伝子工学的解析を行い、遺伝子型を表現型に関連付けた。実験による解析とコンピューター解析から、Aspergillus種の詳細な記述には二次代謝および発現調節の両者が重要であることが示された。

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