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X連鎖症候群:MSL3のde novo変異はヒストンH4リシン16のアセチル化の低下を特徴とするX連鎖症候群を引き起こす

Nature Genetics 50, 10 doi: 10.1038/s41588-018-0220-y

まれな発達障害の原因解明は不十分な場合が多い。クロマチンを調節する機構は細胞のアイデンティティーや機能を維持しており、誤った調節が起こると発生異常につながる可能性がある。本論文ではMSL3の病的な変化を報告する。MSL3は、ハエや哺乳類において、大部分のヒストンH4リシン16アセチル化(H4K16ac)に関与するクロマチン関連MSL(male-specific lethal)複合体をコードする。MSL3のバリアントは両性においてX連鎖症候群を引き起こす。この症候群の臨床症状には、全体的な発育遅延、進行性の歩行障害、認識可能な顔貌異常が含まれる。MSL3の変異は、MSL複合体の構築や活性に影響を及ぼし、in vivoではH4K16acレベルの顕著な喪失を伴う。患者由来細胞のトランスクリプトームを調べると、形態形成や細胞移動に関与する経路に関して全体的な変化が起きた。ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を用いてアセチル化レベルのバランスを取り戻すと、患者細胞の分子表現型および細胞表現型の一部が改善された。以上のことから、この症候群の特徴が明らかになり、ヒトのMSL3の発生における重要性が解明できた。

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