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がん治療:患者由来腫瘍細胞の薬理ゲノム学的全体像が、がんの精密医療で必要な情報を与えてくれる

Nature Genetics 50, 10 doi: 10.1038/s41588-018-0209-6

抗がん治療の結果は、患者の遺伝的背景や分子的背景のため、個人によって大きく異なる。このことは腫瘍の間の不均一性を浮き彫りにするものである。腫瘍の精密医療の基本原則は、腫瘍の分子的特性を明らかにし、患者に最も適した個別化治療の指針とすることである。この目標に向けて、我々は14種類のがんについて462の患者由来腫瘍細胞(PDC)の薬理学的な特徴の全体像を得て、そのうち385についてはゲノムならびにトランスクリプトームのプロファイリングを行った。従来の長期培養がん細胞株モデルと比較して、PDCは腫瘍の分子的特性や生物学的特徴をより正確に再現する。ここでは、我々が得たさまざまな薬理ゲノム学的関連についての知見を報告する。例えば、EGFR阻害薬に対する治療抵抗性をもたらす分子的要因や、現在は血液腫瘍に対して使用されているイブルチニブを神経膠腫のEGFR標的治療に利用できる可能性などについて取り上げる。最後に、後ろ向き研究を用いて、PDCによる薬剤感受性試験によって標的治療薬に対する臨床応答を予測できる可能性について述べる。

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