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胚性ゲノム活性化:DUXファミリー転写因子は有胎盤哺乳類の胚性ゲノム活性化を調節する

Nature Genetics 49, 6 doi: 10.1038/ng.3858

動物胚では、いわゆる胚性ゲノム活性化(zygotic genome activation:ZGA)により胚における転写産物放出の最初の大規模な波が起きるまで、数回の細胞分裂の間、転写はほとんど行われない。母由来のZGA開始因子がキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)およびゼブラフィッシュ(Danio rerio)で同定されているが、その哺乳類ホモログはいまだ明らかになっていない。本論文では、転写因子のDUXファミリーが、マウスおよびおそらくヒトで、ZGAの過程に不可欠であるという証拠を示す。第一に、ヒトDUX4もマウスDuxも、それぞれの種においてZGA前に発現している。第二に、両方のオルソログであるタンパク質は、ZGA関連遺伝子のプロモーターに結合し、その転写を活性化する。第三に、マウス胚性幹細胞(mESC)においてDuxをノックアウトすると、2細胞期胚様状態での細胞周期進行が妨げられる。最後に、Duxを接合子から除去すると、初期胚発生の障害やZGA異常につながる。我々は、DUXファミリータンパク質が有胎盤哺乳類の胚性ゲノム活性化の重要な誘導因子であると結論する。

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