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卵巣がん:DNA修復機構の異常に起因するゲノム変化から卵巣がんの組織型をグループ分けする

Nature Genetics 49, 6 doi: 10.1038/ng.3849

卵巣がんの組織分類の土台となる遺伝子背景を調べるため、卵巣がん133検体〔高異型度漿液性がん(HGSC)59例、明細胞がん(CCOC)35例、類内膜腺がん(ENOC)29例、成人型顆粒膜細胞腫(GCT)10例〕の全ゲノムに対し、点変異および構造変化の解析を行った。両者の統合的なAb initioクラスタリングにより、同一組織型内もしくは組織型間に7つのサブグループを同定した。foldback inversionに富むサブグループには有意に予後不調なHGSCが多く含まれた。これは他の2つの独立したコホート(n=576)でも再現され、foldback inversionはBRCA1およびBRCA2の変異やHGSCに特徴的な遺伝子発現パターンより優れたバイオマーカーであった。CCOCでは、APOBECによる脱アミノ化(26%)と細胞老化関連変異パターン(40%)を多く認めた。ENOCは、ミスマッチ修復遺伝子変異を伴うマイクロサテライト不安定性(28%)で分類された。以上により、体細胞ゲノムは異なるDNA修復不全機構を反映し、卵巣がんの主な組織型をさらに生物学的に異なる階層に分類できることが明らかとなった。

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