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柑橘類:原始、野生および栽培柑橘類のゲノム解析は無性生殖解明への手掛かりとなる

Nature Genetics 49, 5 doi: 10.1038/ng.3839

アポミクシスの出現、つまり有性生殖から無性生殖への移行は現在の柑橘類における顕著な特徴である。今回、我々は新規に塩基配列決定を行い、4つの代表的な柑橘類のゲノムについて包括的に研究した。また、原始柑橘類、野生種および栽培柑橘類の100アクセッションについて塩基配列決定を行った。比較集団解析の結果は、エネルギーおよび生殖に関連する遺伝子を含むゲノム領域が、おそらく栽培柑橘類で選択を受けていることを示唆している。我々はまた柑橘類でアポミクシスの1つである多胚形成に寄与する遺伝子座を11の候補遺伝子を含む80 kbの領域に狭めた。候補遺伝子の1つであるCitRWPは多胚性の栽培種の胚珠で高いレベルで発現している。我々は、多胚形成と共分離するMITE(miniature inverted-repeat transposable element)配列への挿入が、CitRWPのプロモーター領域に存在することを見出した。本研究は柑橘類のアポミクシスに新たな理解をもたらす手掛かりとなるものであり、農学的に重要な遺伝子を発掘するために有用なリソースとなることが見込まれる。

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