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優性遺伝形質:ヘテロ接合性のタンパク質短縮型バリアントの選択に与える影響をヒトのエキソームデータから推定する

Nature Genetics 49, 5 doi: 10.1038/ng.3831

遺伝子欠損の進化コストは遺伝学における重要な問題であり、モデル生物やヒト細胞株での研究が行われてきた。ヒトにおいて、1つの遺伝子の一方もしくは両方の機能性コピーが消失したときへの耐性が、当該遺伝子に起因する疾患と関連している。しかし、ヒトにおける選択係数および優性度の推定に対する理解は進んでいない。本論文では、60,706人のエキソーム配列データを解析し、遺伝子機能のヘテロ接合性消失に対する選択のゲノムワイドな推定値を求めた。ヘテロ接合性のタンパク質短縮型バリアント(PTV)の選択係数の分布を用いて、個々の遺伝子に対応するベイズ推定値を示した。その結果、最も強い選択を受けている遺伝子が、ノックアウトによってマウスを胎生致死とする遺伝子、メンデル遺伝性疾患の関連遺伝子、転写調節因子に多く存在することを見つけた。また、細胞にとっての必須性で遺伝子のスクリーニングを行い、選択を強く受けており、重要な役割を果たす可能性が高いが、まだ十分には特性解析されていない遺伝子を見いだした。

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