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顆粒球形成:SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体のSMARCD2サブユニットはCEBPε依存的な機構により顆粒球形成を仲介する

Nature Genetics 49, 5 doi: 10.1038/ng.3812

最近の研究から、クロマチンリモデリング複合体の個々のサブユニットは、さまざまな組み合わせで組み立てられることにより、細胞の種類によって異なる特異的な生物学的意義を生み出していると考えられている。本論文では、顆粒球の発達にはATP依存性のSWI/SNF(BAF)クロマチンリモデリング複合体のサブユニットであるSMARCD2が必要であることを示す。Smarcd2欠損マウスは機能的に成熟した好中球や好酸球を作り出すことができず、この表現型は、ヒトの好中球二次顆粒欠損症(SGD)に類似していた。SGDではCEBPE(CEBPεをコードする)の機能喪失変異が報告されている。SMARCD2を含むSWI/SNF複合体は、CEBPε転写因子の好中球二次顆粒遺伝子プロモーターへの誘導や、顆粒球の分化に必要である。ホモログであるSMARCD1タンパク質(アミノ酸レベルで63%の同一性)は、SMARCD2に代わって顆粒球発達における役割を担うことはできなかった。SMARCD2の機能的特異性は、その異なるコイルドコイル1ドメインとSWIBドメインが担っていることが分かった。SGD患者において同定されたCEBPEおよびSMARCD2の機能喪失変異は両方とも、SWI/SNFとの相互作用を阻害し、また、そのため二次顆粒遺伝子の発現が起こらなくなるので、従ってこれがこの疾患の分子基盤であることが分かった。

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