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喘息、花粉症、湿疹に共有される遺伝的起源からアレルギー性疾患の生物学的性質を解明

Nature Genetics 49, 12 doi: 10.1038/ng.3985

喘息、花粉症(アレルギー性鼻炎)、湿疹(アトピー性皮膚炎)が同一人物によく見られるのは、これらの疾患に共有される遺伝的起源の存在がその理由の一部である。本論文では、共有されるリスクバリアントを同定するために、これら3つの疾患のいずれか1つが存在すると考えられる広範なアレルギー性疾患表現型についてのゲノムワイド関連研究(GWAS、n=360,838)を行った。これまでに報告されていない73個を含む、136個の独立したリスクバリアント(P < 3 × 10−8)が同定され、アレルギー性疾患の病態生理に関与する132の遺伝子がこれらの近傍に存在することが示唆された。疾患特異的な効果は6個のバリアントにのみに検出され、これらのほとんどがリスク因子を共有することが確認された。組織特異的な遺伝率の解析や生物学的過程のエンリッチメント解析から、共有されるリスクバリアントはリンパ球を介する免疫に影響を及ぼすと考えられた。6つの標的遺伝子から、既存薬再開発の機会が示される一方、36の遺伝子についてはCpGメチル化が遺伝的効果とは独立に転写に影響を及ぼすことが分かった。喘息、花粉症、湿疹が部分的に共存するのは、これらが多くの遺伝的リスクバリアントを共有し、免疫関連遺伝子の発現の脱調節を引き起こすからであることが明らかになった。

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