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遺伝子発現:全ゲノム塩基配列決定と複数のヒト組織でのRNA-seqから、発現に影響を及ぼす原因バリアントを予測する

Nature Genetics 49, 12 doi: 10.1038/ng.3979

遺伝的関連マッピングにより、表現型とゲノム領域が統計学的に結び付けられるが、原因バリアントを同定することはいまだに困難である。全ゲノム塩基配列決定(WGS)は、あらゆる遺伝的バリアントについて完全な情報をもたらすので有用だが、検出力の高いGWAS研究として用いるには費用が高額になる。本論文では、WGSとRNA-seqを用いて発現量的形質座位(eQTL)のマッピングを行い、WGSで得られたリードeQTLバリアントが、原因バリアントである可能性が高いことを明らかにした。シミュレーションを用いて原因バリアントの特性を明らかにし、それを利用して、原因SNPの候補を同定する方法を開発した。組織や実験方法に依存するが、原因バリアントの25~70%はクロマチンが開いた領域に位置していると推定された。さらに、信頼性の高い一連の原因バリアントを同定し、それらが他のeQTLよりもGWASによる関連に豊富に存在することを明らかにした。それらのバリアントは65のGWAS形質と関連を示した。これは、発現から示唆される遺伝子が複雑形質に関与することを機能的に評価した例である。

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