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エンハンサー:ヒト初代細胞のエンハンサー・コネクトームから疾患関連DNA配列の標的遺伝子が明らかになる

Nature Genetics 49, 11 doi: 10.1038/ng.3963

遺伝子間に存在する変異を標的遺伝子に結び付けることの難しさが、ヒト疾患の分子的理解を制限している。本論文では、H3K27ac HiChIPにより、ヒト初代T細胞の希少なサブタイプおよび冠動脈平滑筋細胞において、活性なエンハンサーと標的遺伝子の高分解能コンタクトマップを作製したことを示す。ナイーブT細胞の17型ヘルパーT細胞や制御性T細胞への分化では、特に、DNAへの接近性がサブタイプ間で共有される領域で、サブタイプ特異的なエンハンサー–プロモーターの相互作用が生じる。これらのデータから、分子機能を自己免疫疾患や心血管疾患のリスクバリアントに割り付ける方法の原理が得られ、数百の非コードバリアントが推定の遺伝子標的に結び付けられた。HiChIPで同定された標的遺伝子は、患者由来の初代細胞において、関連エンハンサーでのCRISPR干渉や活性化、発現量的形質座位の存在、対立遺伝子特異的エンハンサーループによる解析でも、支持する結果が得られた。大部分の疾患関連エンハンサーは、直線状ゲノムにおいて近傍の遺伝子を越えて別の遺伝子と接触するので、自己免疫疾患や心血管疾患の候補標的遺伝子の数が4倍に増加した。

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