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糖尿病と心疾患:2型糖尿病の新規感受性座位の同定ならびに冠動脈性心疾患との共通病因経路

Nature Genetics 49, 10 doi: 10.1038/ng.3943

2型糖尿病(T2D)と冠動脈性心疾患(CHD)に共通する遺伝的な病因を評価する目的で、複数の祖先集団を対象にした両疾患の遺伝学的多様性に関するゲノムワイドな解析を行った。解析した患者数は、T2Dについては26万5678人、CHDについては26万0365人に上った。その結果、これまでに報告されていない感受性座位が、T2Dについて16個、CHDについては1個同定された。前者には例えば、HLA-DRB5の新規ミスセンスバリアントがある〔オッズ比(OR) = 1.29〕。遺伝的要因によるT2Dリスクの上昇は、CHDのリスクも上昇させることが示された。T2DとCHDをまとめて解析した結果、8つのバリアント(そのうち2つはコーディングバリアント)が同定されたが、T2DとCHDの関連は共局在しているようであった。例えば、CCDC92にはT2DとCHDの両方の関連が新たに判明し、T2Dとの関連は再現解析でも確認できた。両疾患との関連を有するバリアントは、新しい病因経路の存在や、イコサペント酸エチルや脂肪細胞型脂肪酸結合タンパク質などの標的の存在を示唆している。

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