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コピー数変化:体細胞コピー数変化の全がん解析からIRS4IGF2が関与するエンハンサーの乗っ取りが明らかになる

Nature Genetics 49, 1 doi: 10.1038/ng.3722

がん遺伝子に影響を及ぼす体細胞コピー数変化(SCNA)に焦点を合わせた大規模研究がかなり行われてきたが、頻発性SCNAがシス調節性配列(CRE)の再編成がどの程度の影響を発揮するかについてはこれまで解明されていない。今回我々は、SCNA、遺伝子発現データおよびTAD(topologically associating domain)についての情報を統合することで、CRE再編成(例えば、エンハンサーの乗っ取り)によるがん関連遺伝子の過剰発現を推定する枠組みを示す。今回、7416のがんゲノムの解析から、IRS4SMARCA1TERTをはじめとするいくつかの全がん候補遺伝子が明らかになった。そして、肺がんにおけるIRS4の過剰発現は、シスに頻発する欠失に関連していることが明らかになり、腫瘍を促進する役割を持つことを裏付ける証拠が得られた。さらに、がん種特異的な解析を行うことで、大腸がんではIGF2が、エンハンサーの乗っ取りの標的であることが明らかになった。TAD境界を横切る頻発性の縦列重複は、IGF2を含む3D接触ドメインや細胞系譜特異的スーパーエンハンサーのde novo形成を仲介することにより、IGF2の高レベルの遺伝子活性化を引き起こした。我々の枠組みにより、がんにおいて異常調節を仲介するCRE再編成の系統的な推測が可能になる。

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