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心機能:タイチン短縮型バリアントは疾患コホートと一般集団の心機能に影響をもたらす

Nature Genetics 49, 1 doi: 10.1038/ng.3719

タイチンの短縮型バリアント(TTNtv)は、拡張型心筋症(DCM)を引き起こす一般的な原因である。TTNtvはまた一般集団のほぼ1%に見つかるが、一般集団では表現型が現れていない可能性があり、この事実はその原因がおそらく対立遺伝子に関係していることを示している。TTNtvへの理解を深めるため、ヒトにおける一連のTTN対立遺伝子、心臓イメージング、ゲノムデータを統合的に解析し、さらにラットにおいて、各種のTTNtvモデルを詳細に調べた。DCM患者では、タイチンのどの部分に生じたTTNtvであってもDCMに対して有意な関連を示した。ラットモデルについては、リボソームプロファイリングを行い、Ttnに中途終止コドンが存在する場合の翻訳過程におけるフットプリント、TTNtvの位置に無関係なナンセンスコドン依存性変異対立遺伝子分解、心代謝異常のシグネチャーを明らかにした。TTNtv型ラットの心機能はベースライン時には取り上げるほどの変化は認められなかったが、心臓に負荷をかけると正常な機能が損なわれるようになった。健常なヒトで、高解像心臓イメージングについての機械学習に基づく分析を行ったところ、TTNtvが遠心性の心臓リモデリングと関連があることが判明した。今回得られたデータから、TTNtvが生物種を超えて、心臓に対して分子および機能上の影響をもたらすこと、そして同時に、その影響が個体に現れる程度は健常状態および病的な状態で連続的であることが示された。

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