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シシバナザル:シシバナザル類のゲノミクス解析による高地への適応に関連した遺伝子とその推移の同定

Nature Genetics 48, 8 doi: 10.1038/ng.3615

シシバナザル属Rhinopithecusには5つの互いに近縁な種が属しており、800 mから4,500 mの標高にわたり分布している。Rhinopithecus bietiRhinopithecus roxellana(キンシコウ)、Rhinopithecus strykeriは高地に生息し、Rhinopithecus brelichiRhinopithecus avunculusは標高の低い地域に生息している。我々はR. bietide novoの全ゲノム配列、および他の4種のゲノム配列について報告する。高地に住むシシバナザルの6つの遺伝子に肺の機能、DNA修復、および血管生成に関連する8つの共通する置換が見つかった。機能アッセイを行ったところ、高い標高でのシシバナザルにおけるCDT1のバリアント(Ala537Val)は、細胞をUV照射に対しより抵抗性にしていた。また同様に、RNASE4のバリアント(Asn89LysおよびThr128Ile)により、in vitroの系で血管内皮細胞の管形成を誘導する能力が高まっていることが示された。R. bietiR. roxellana集団のゲノムスキャンにより、高地への適応に関連する機能に重要な遺伝子において、集団間および集団内の選択に関するシグニチャを同定した。これらの結果は、シシバナザル類の高地への適応について有用な手掛かりを与えるものである。

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