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偏頭痛:375,000人のメタ解析から38の偏頭痛感受性座位が明らかになる

Nature Genetics 48, 8 doi: 10.1038/ng.3598

偏頭痛は世界のおよそ7人に1人が罹患する衰弱性神経疾患であるが、その分子機構はほとんど解明されていない。偏頭痛が血管機能障害による疾患であるのか、それとも二次性の血管変化を伴うニューロンの機能障害の結果であるのかについては議論が分かれるところである。これまでのところ、ゲノムワイド関連解析(GWAS)から偏頭痛に関連する13の独立した座位が同定されている。今回、新しい感受性座位を同定するために、偏頭痛についての遺伝学的研究を59,674人の症例と316,078人の対照において行った。なおこれらの症例および対照は、22のGWAS研究由来のものである。その結果、片頭痛リスクと有意に関連する44の独立した一塩基多型(SNP)を明らかにした(P < 5×10−8)。これらのSNPは38の異なるゲノム座位に位置決定され、そのうちの28座位はこれまでに報告されておらず、また1座位は我々の知る限り初めてX染色体に同定された座位である。その後に行ったコンピューター解析により、これらのゲノム座位には血管組織や平滑筋組織に発現する遺伝子が豊富に見られた。これは片頭痛の主要な説と一致し、血管が病因であることを浮き彫りにしている。

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