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変異:de novo変異の親起源特異的なシグネチャー

Nature Genetics 48, 8 doi: 10.1038/ng.3597

配偶子形成に起源があるde novo変異(DNM)は、遺伝学的多様性の重要な供給源である。本論文では、両親と子の3人組から構成される816組について全ゲノム塩基配列決定を行い、7,216の常染色体DNMの親起源を明らかにした。そしてこのデータセットを用いて、母親由来のDNMと父親由来のDNMの差異を調べ、その原因となる変異機構を研究した。結果として、子のDNM数は父親の年齢の上昇だけでなく、母親の年齢の上昇とともに増加すること、また、一部のゲノム領域は母親由来のDNMが豊富に存在することが分かった。父親の年齢の上昇とともに特に顕著になる親起源特異的な変異シグネチャーが明らかになったことは、精子形成と卵形成では異なる変異機構があることを示している。さらに、両親の対立遺伝子間で著しい差を示さず、独特の変異シグネチャーを持ち、空間的にクラスターを形成したDNMが見つかり、これは別個の変異機構によるものと考えられた。我々の知見は、変異誘発の原因となる分子機構についての手掛かりを与えるものであり、ヒトの疾患や進化の理解に重要である。

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