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脳腫瘍:治療下における神経膠芽腫の経時的なクローン性発達パターン

Nature Genetics 48, 7 doi: 10.1038/ng.3590

神経膠芽腫(GBM)は、原発性脳腫瘍の中で最も頻度が高く、しかも非常に進行が早い。GBMがどのような「進化」過程をたどるかについての理解を深めるため、患者114人について、ゲノムおよびトランスクリプトームの長期的データの解析を行った。その結果、患者の63%に発現パターンに違いのあるサブタイプが認められ、高度に分岐した進化パターンが明らかになった。分岐パターンやその変化速度の推定から、再燃に関係するクローンは診断の何年も前に存在していたことが示唆された。腫瘍の15%では、再燃時に高頻度変異が高発現遺伝子に認められ、それはまた明確な変異シグネチャーを示した。再発腫瘍の11%は、TGF-β結合タンパク質をコードしているLTBP4に変異を持っていた。GBM細胞においてLTBP4の発現を抑制すると、TGF-β活性が抑えられ、細胞増殖が低下した。IDH1が野生型である再発がんの場合、LTBP4が高発現であれば予後は不良であった。これは、TGF-β経路がGBMの有力な治療標的であることを示唆するものである。

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