Article

パーキンソン病:家族性パーキンソン病におけるTMEM230変異の同定

Nature Genetics 48, 7 doi: 10.1038/ng.3589

パーキンソン病は神経変性疾患として2番目に発症頻度が高く、効果的な治療法が存在しない。通常は散発性の疾患で、病因は不明である。しかし、まれな家族性パーキンソン病の遺伝学的解析からいくつかの遺伝子変異が同定され、これらの遺伝子と典型的なパーキンソン病やパーキンソン症候群との関連が明らかになっている。パーキンソン病の発症機序は、依然としてほとんど知られていない。本論文では、Lewy小体の蓄積が確認された臨床上典型的なパーキンソン病に関連する常染色体優性の座位を20番染色体短腕(20pter-p12)に同定し、疾患原因遺伝子としてTMEM230を見つけたので報告する。TMEM230は、分泌・リサイクル小胞である膜貫通タンパク質をコードしており、その中には神経細胞内のシナプス小胞があることを明らかにした。疾患に関係する変異型TMEM230タンパク質は、シナプス小胞輸送を障害していた。今回の研究成果は、神経細胞内のシナプス小胞の変異型膜貫通タンパク質がパーキンソン病の発症原因に関係していることの遺伝学的証明となる。そして同時に、パーキンソン病の発症機序の解明や合理的な治療法の開発に示唆を与えるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度