Analysis

がん免疫:ヒトがんの腫瘍に浸潤しているT細胞レパートリーの全体像

Nature Genetics 48, 7 doi: 10.1038/ng.3581

我々は、コンピューターによる方法を開発して、29種類のがんの9,142のRNA-seq試料において腫瘍に浸潤しているT細胞の相補鎖決定領域CDR3の塩基配列を推定した。600,000以上のCDR3塩基配列を同定し、その15%は完全長である。多くの腫瘍に浸潤しているT細胞のCDR3塩基配列は、その長さの分布、アミノ酸保存度、また遺伝子利用頻度の変化が、健康なドナーの末梢血細胞と類似していたが、脳や腎臓のがんの場合は異なっていた。T細胞の多様性と腫瘍の変異負荷の間に強い関連が観察され、我々は多数のがんにおいて、SPAG5およびTSSK6が免疫原性のがん・精巣抗原であると推定した。さらに、CDR3塩基配列との共存を基盤として、3つの免疫原性体細胞変異候補を同定した。そのうちの1つであるPRAMEF4変異は、p.Phe300Valをコードしており、そのペプチドは保有者のHLA型が一致した場合に、MHCクラスI分子にもクラスII分子にも強力に結合すると予測された。今回の解析は、免疫原性新生抗原と腫瘍反応性T細胞のクローン型を同時に同定できる可能性がある。

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