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肝臓がん:肝臓がんの全ゲノムにわたる変異と非コード領域や構造変異の特徴

Nature Genetics 48, 5 doi: 10.1038/ng.3547

肝臓がんは多くの場合がウイルス感染に関連しており、全世界的に流行しているが、その病因やゲノム構造は単一ではない。今回、我々は300例の日本人の肝臓がんについて、全ゲノムにわたる体細胞変異を網羅的に調べた。この包括的な解析により、非コード領域およびコード領域における点変異、構造変異(STV)、ウイルスゲノムの組み込みが同定された。今回の解析により、肝臓での発がんに関連する変異の特徴(シグネチャー)を見いだし、コード領域および非コード領域で変異が繰り返し起こる領域、例えば長鎖非コードRNA遺伝子(NEAT1およびMALAT1)やプロモーター、遺伝子間のCTCF−結合部位および調節領域の変異集積を発見した。STV解析により、複製のタイミングとの有意な関連が見つかり、既知のがん関連遺伝子(CDKN2ACCND1APCTERT)に加え、新規のがん関連遺伝子(ASH1LNCOR1MACROD2)が同定された。これらの遺伝子周辺でSTVに繰り返し起こり、発現の変化の原因となっている。これらの結果は、特にSTVや非コード領域の変異に関し、がん化のドライバー変異を発見し、肝がんにおける分子プロファイルを包括的に理解する上での全ゲノム塩基配列決定解析の重要性を示すものである。

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